高校野球 勇気ある決断

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第101回全国高校野球選手権岩手大会 決勝 大船渡高校vs花巻東高校

最速163kmという高校生とは思えないスピードで、全国的に注目を集める大船渡の佐々木朗希投手がついに県大会の決勝に進出し、甲子園に王手をかけ、強豪花巻東との対戦がどうなるか?と注目を集めた一戦。しかしながら大船渡の監督の判断で佐々木投手が決勝のマウンドに立つことはなく、甲子園の切符を逃してしまいました。

賛否両論

「甲子園のチャンスを、なぜ、みすみす逃したのか?」
「佐々木投手本人も無念だったのでは…?」
「ほかの選手は納得するのか?」

いろんな意見があるのは当然!だからこそ監督が自身の判断で登板を回避させ、全責任を一人で背負っています。

では、もし登板していたら…
佐々木投手が抑え、甲子園に行けたかもしれません。あるいは惜しくも敗れたかもしれません。
ただ、これは勝敗のこと。

もし日本野球界の至宝とも言える佐々木投手が故障していたら…?そうなったとき、誰が責任を取れるのでしょうか。その確率は決してゼロではなかったでしょう。あるいは強豪校に進学していて、何度も甲子園に出場していたら…?もしかしたら、すでにケガをしていて163kmというストレートを見ることもできなかったかもしれません。

 

これらはすべて「たられば」の話
結果として日本の至宝は守られ、大いなる可能性を秘めたまま、次のステージに進むことになりそうです。

私が思うのは、プロ野球横浜DeNAベイスターズの筒香選手が少年野球などでの勝利至上主義に異議を唱えたり、投球数の制限の問題が起こったりしている中で、この監督は大きなメッセージを発信したということだと思っています。

“甲子園”という誰もが憧れる舞台をかけての対戦においても、選手の将来を大切にしたという判断

一人の選手として、一人の人間として、その成長過程にある段階で無理はさせられない。これは当たり前のことなのに、無理をしてでも勝つことを一番に選び、結果として故障を抱え、手術を行い、リハビリに多くの時間を費やす。あるいはこっそり消えていく・・・

私の周りでも小・中学生でも肘の手術をしたという話を聞くことがありますが、ゾッとする話です。また、私自身も苦しんでいますが、腰椎の疲労骨折による腰椎分離症になったいう話も同様です。

発育発達の差が激しい小学生から中学生の時期。また、まだ成長過程である高校生といった時期においては、将来に禍根を残すことの無いようにまた勝負の時期はまだ先にあると信じて、長い目で見た指導が必要であるということをぜひ指導者も保護者も考えていただきたい。

佐々木投手という日本の野球界の至宝だから…ではなく、私たちの周りの子どもたちにも当てはまる大切な話だと思っています。